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●タイムダラーとは、時間を交換する新しいボランティアのシステム

 

タイムダラーは時間を交換する新しいボランティアのシステムです。例えばある人がある人に1時間サービスをすると、それは1点と数えられます。タイムダラーのシステムはとてもシンプルで、思いやりの時間を交換するわけです。例えば5歳の子どもがボランティアをする1時間も、70歳の高齢者の人がボランティアする1時間も、お医者さんがボランティアをする1時間も、ホームレスの人が町を清掃する1時間も、すべて1点です。とてもシンプルでフレキシブルなシステムです。
タイムダラーは人間の尊厳を重んじるものです。なぜなら単に与えたり受けたりするだけではなく、1人の人が受けたり与えたり両方できるシステムだからです。それと思いやりの交換なので、その中で一緒に働いているのだという意識が生まれてきます。マイアミではタイムダラーの点数を使って高齢者の人たちが保育園を経営しています。現在は核家族が多いので、若いお母さん方や夜遅くまで働いている夫婦のために、地域の高齢者の人たちがタイムダラーの点数を使って保育園を経営しているわけです。保育園に子どもを預けているお母さん方は、地域活動をして稼いだ点数で保育園の費用を払っています。
タイムダラーは、引退して「余生をゆっくり過ごして下さい」などと言われてがっかりしているお年寄りたちから新しい力を引き出すことができます。高齢者でも保育園を経営したり、寝たきりの方でも電話サービスができますし、目の不自由な方でも電話での話相手ができます。小学校の子どもが学校の帰りに独居のお年寄りを訪ねて話相手をしたり、ダウン症の子どもがお年寄りと一緒に花づくりをして、特別養護老人ホームにもっていったりと、今までは依存している立場にいた人たちが、今度はサービスを提供する側になれる、これもタイムダラーの1つの特長であると思います。
またタイムダラーは楽しくやる行為だと思います。決して、やらなければいけないという義務ではなくて、自分から進んで隣近所の人を愛し、助け合う相互扶助の行為です。これは日本の土壌のなかにもある行為ではないかと思います。
先ほども言いましたが、タイムダラーは今までは依存していた人たちから力を引き出し、ボランティアにするものですが、ときにはこのようなボランティアの行為が行政に安く使われているのではないかと言う人たちもいます。しかし考えてみてください。ボランティアを受ける子どもたちにしても、お年寄りにしても、末端にいる人たちは人間なのです。ですからその行為が行政を助けるからしない、行政の手足になるからしないと考える前に、私たちのするボランティア活動によって誰が幸せになれるのかということを考えてください。それは私たちの未来である子どもたち、その人たちが幸せになる行為であるとお考えください。日本の各地でお話をしますが、今回福岡に来て、初めて若い方たちが聞きに来てくれていまして、本当に嬉しく思います。

 

●タイムダラーのつくり方(マイアミの場合)

 

それでは、どのようにタイムダラーを始めたらよいのかと皆さんはお考えだと思います。私がマイアミで始めたケースを話しますと、まず市民団体、特別養護老人ホーム、病院、保健所、自治体、企業などに集まっていただき、理事会をつくりました。その理事会のな

 

 

 

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